設置場所:東京都北区西ケ原2-16-1 渋沢史料館晩香廬前庭園
制作者:長沼守敬(1857-1942)
除幕式:1902年4月3日(兜町の第一銀行本店中庭)
移設:1934年10月(世田谷区瀬田にあった第一銀行の保養施設「清和園」へ)
現在地に移設:1956年又は1971年
画像提供:ヒロ団長
林久治⇒銅像探索記/f
施主:第一銀行の行員一同(渋沢氏の還暦祝い)
設置経緯:本立像は渋沢栄一氏(1840-1931)の最初の銅像である。本像は「第一銀行新築披露会」の当日に除幕された。本会の様子を竜門雑誌(1902年4月、第167号、p.32-34)は以下のように伝えている。
第一銀行新築建物は去三月卅一日落成したるを以て四月三日午前九時より午後四時迄府下の紳士紳商等を招きて屋内を観覧に供し新築の披露を為したるが、来観者は蜂須賀侯爵、鍋嶋侯爵、三井男爵、三井守之助、三井養之助、大倉喜八郎、浅野総一郎、原六郎、馬越恭平、今村清之助、園田孝吉、田口卯吉氏等を始めとし無慮一千余名にして、頭取たる青淵先生を始め佐々木支配人以下入口に於て一々来観者を迎へ当日の紀念品たる白扇及紙挟を交付し、続て行員の先導にて先づ営業場を始め各室を鄭寧に案内し詳細なる説明をなし、階上の広間には接待場を設け立食茶菓の饗応ありて、観覧を終りたる者は順次後の入口より夫々退散したり。尚ほ当日午前八時今回同行中庭に建設したる青淵先生の銅像除幕式を挙行し、先づ佐々木支配人の祝詞あり、続て同先生の答辞、及行員一同に対する懇篤なる訓戒の演説ありたりと云ふ。(中略)営業室の背部に廊下を隔て鍵形の中庭を設け、各室の光線及空気の流通を完全ならしめ、又其庭中に花崗製の石台を築き、其上に渋沢男爵の洋装にて直立したる全身の銅像を装置したり、此銅像は渋沢男爵還暦の節第一銀行行員一同より長沼守敬氏に依嘱して鋳造せしめたるものを、建築落成に際し此庭中に建設したるものなり。
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